【温存希望の重度歯周病】トイプードル 9歳

【温存希望の重度歯周病】トイプードル 9歳

お口の汚れや口臭が気になると来院されました。

来院時の簡易の口腔内検査で歯石の付着と歯肉の退縮、切歯(前歯)のぐらつき等が確認でき、重度の歯周病と診断しました。

通常であれば抜歯処置を推奨する症例ですが、飼い主様より

できる限り抜歯処置はせず、温存してほしい』とのお申し出がありました。

歯を温存するためには病院での治療はもとより、歯石除去後に飼い主様が行っていただくホームデンタルケアが何より重要になります。

ご自宅でのデンタルケアが不可能であれば悪い歯を残すメリットはありません。

また、一度病院で処置して終わりではなく、数カ月に一度、場合によっては都度麻酔下で行う定期検査が必要になります。

その旨ご説明し、今回は検査と処置を2回に分けて行いました。

1回目は検査をして抜かなければならない歯、抜いたほうが良い歯、温存できる歯などを評価し、飼い主様とご相談のうえ、後日改めて処置を行います。

【1回目:全身麻酔下での口腔内検査・一部処置】

まずは麻酔をかけて口の中を確認していきます。

  

【写真①②③】全ての歯に歯石が堆積しているばかりでなく、歯茎の腫れや、炎症、血色の悪さ等があります。

 

次にレントゲン検査や歯周ポケット測定を行い、状態を評価します。

【写真④】右上顎の奥歯のレントゲンです。歯周病の進行で骨吸収を起こしています。(骨が溶けてしまうこと)

【写真⑤⑥】治療が必要な歯の記録をとります。すでにグラグラしている歯は残すことができないので次回に持ち越さず抜いてしまいます。

【写真⑦】今回は丁寧な歯石除去まではせず、大まかに歯石をとって終了です。

 

【検査結果ご説明・処置の相談】

写真④⑤⑥等、今回行った検査の結果を飼い主様にご説明します。

犬歯は温存が可能な歯、そのほかの多くは抜歯を推奨する歯と診断しましたが、飼い主様が温存を強く希望されたため、飼い主様の頑張りに期待し、温存療法を行うことになりました。

【1か月後 再処置】

 

歯周ポケット内も徹底的に清浄化し、終了です。前回ある程度歯石を取っておいたため、以前より口内環境が改善されたためか、歯肉のどす黒さがなくなっています。

あとは飼い主様がどれだけ頑張れるかにかかっています。

 

【2週間後 】

 

処置から2週間後麻酔をかけず、起きた状態で口腔内を確認しました。

歯肉の色味は前回よりもさらに改善しています。

ご自宅でのデンタルケアを開始していただいており、歯石についてはぱっと見はついていないように見えますが、ブラックライトを当てるとピンク色に光って見える部分がわずかながらにありました。(ブラックライト照射で歯石はピンク色に光ります)

人間の場合、歯垢が歯石になるまでにおよそ2-3週間かかるそうですが、犬猫の場合はおよそ3日で歯石になってしまいます。

 

【処置から3か月後】

再び麻酔をかけずに起きた状態で口腔内を確認しました。

横側から見ると、一番大きな歯の溝に若干歯石はついてしまっていますが、飼い主さんの頑張りもあり何とかこの程度にとどまっています。歯肉の後退も改善しているように見えます。

前歯に関しては処置直後の写真と見比べるとわかりますが、歯と歯の間に隙間が埋まってしまうほどに歯垢、歯石がたまっていますが、院内でのケアで取り除くことが可能な範囲でした。

定期的に通院し、検査することで飼い主様とワンちゃんの歯磨きが苦手な部分も把握でき、また軽度のうちにケアすることができます。

正直なところご自宅でのデンタルケアはもちろん、定期的な通院も飼い主様の負担はとても大きいですが、

飼い主様の頑張りで歯を温存することができています。

今後も定期的な検査をし、経過を注意深く見ていきます。

 

治療前

全ての歯に歯石が堆積しているばかりでなく、歯茎の腫れや、炎症、血色の悪さ等があります。
グラグラしている歯は残すことはできません。

治療後

グラグラしている歯は抜いてしまい、その他の歯は歯周ポケット内まで徹底的に清浄化します。
あとは飼い主様の頑張り次第です。